私は自分の気持ちの赴くままに筆を動かしていくタイプだ。
しかし、源氏物語は完全な「静」の世界。
どう描いていいか考えると、胃が痛くなり、息苦しくなった。
追いつめられた私は源氏物語研究家、今は亡き青山フユさんを訪ねた。
朝から晩まで正座して、先生が読んでくださる原文をひたすら拝聴する。
その声は裏庭の竹林を渡る風のように神秘的だった。
そしていつしか私を千年前の世界へと運んでくれた。
幾度となく先生の元へ足を運び朗読を聴き、必死で筆を進めた。
実に苦しい作業だった。
しかしそのうち、源氏物語の奥底に流れる何かが、私に呼びかけてくれるような気配を感じた。
そして、かたくなに拒んでいた姫君たちが、御簾の奥から少しずつ語りかけてくれるような気がした。
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育美 (木曜日, 07 7月 2011 20:11)
はじめまして、こんばんは。
先生の作品展を探しながら、こちらのホームページにたどり着きました。
思いがけずいくつかの作品を鑑賞することができ大変光栄でした。
ありがとうございます。
またいつか先生の絵に触れ、描かれたシーンへと旅する機会が得られればと願ってやみまん。
猛暑が続いておりますがお体ご自愛くださいますように。